自社のグループインタビュー(FGI)やデプスインタビュー(DI)などの定性調査で失敗しないノウハウとは?

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自社のグループインタビュー(FGI)やデプスインタビュー(DI)などの定性調査で失敗しないノウハウとは?

こんにちは、そめです。

今回は、ユーザー理解には欠かせないインタビューについて、そのノウハウをご紹介します。定量調査などの、大規模にターゲットの意見や状態を理解したいときの為のものではなく、そこからさらに踏み込んだ、深いターゲットの理解・インサイト(本人も気づいていないような欲求やニーズ)を掘り下げ、すくい上げるのに有効です。

しかしながら、これを外部の調査会社に行うとしたらそれなりにお金もかかります。

そこで、何十回とグループインタビュー(FGI)やデプスインタビュー(DI)を、自社で繰り返してきたそめが、予算がなく自社で行いたい企業様の為に、そのノウハウをご紹介いたします。

 

 

グループインタビュー(FGI)とデプスインタビュー(DI)の違いとは?

グループインタビュー(FGI)やデプスインタビュー(DI)の違いとは?

定性調査には大きく分けて2つのやり方があります。それが、グループインタビュー(FGI)とデプスインタビュー(DI)です。その違いについて説明していきます。

 

グループインタビュー(FGI)とは?

グループインタビュー(FGI)とは?

グループインタビューとは、ターゲットとなる方(3〜7人)を集めて、ディスカッション形式で進行するインタビューです。進行役のインタビュアーが、参加者に質問を投げかけ、ディスカッションをしてもらいます。

 

グループインタビュー(FGI)のメリットは?

複数人の意見を同時に聞くことが出来き、それによりどのポイントに共感が集まりやすいか? どのポイントで意見が割れやすいか? また、それはなぜか? などが明確になります。

複数人でディスカッションすることで、相互作用が生まれ、一人では出てこないような多様な意見を抽出、言語化することができます。

 

デプスインタビュー(DI)とは?

デプスインタビュー(DI)とは?

デプスインタビュー(DI)はインタビュアーとターゲットが、一対一で行うインタビューのことです。実際のヘビーユーザーなどが対象となる事が多く、カスタマージャニーやペルソナの精度向上を目的としたり、複数人では話しづらいデリケートな商材や内容に関するヒアリングに最適な手法です。

デプスインタビュー(DI)のメリットは?

グループインタビューでは、多数派の意見に飲まれて、少数派の意見が目立たないこともあります。そういった「大人数いることで出にくい」さらに深いユーザーの声を拾い上げることができます。また、既存ユーザーとなっていて、且つヘビーユーザーにカテゴライズされる人物の意見を深ぼることによって、サービス提供者自身が気づいていなかった、ベネフィットやファン化・ヘビーユーザー化するポイントをすくい上げることができる可能性があります。

 

調査票(質問表)を作成しよう

調査票(質問表)を作成しよう

それでは、ここからは具体的に行っていく作業について説明していきます。まずは、調査票(質問表)作成です。

これは、必ず「インタビューの実施決定前」に行ってください。

 

「え?決まってから作るんじゃないの?」

 

と思われるかも知れませんが、逆です。インタビューが決定してから調査票を作成すると「インタビューを行うことが目的化」するからです。

では、なぜ目的化が起こり、それが問題なのか?その理由を説明していきます。

 

何を解決するのか?を明確にする

調査票(質問表)を実施決定前に作成するのには、大きく分けて、2つの理由があります。それは

  1. インタビューで何を解決したいのか?
  2. その解決方法はインタビュー形式が本当にいいのか?

を明確にするためです。

 

例えば、事業の課題がまったくクリアになっていない状態で、インタビューを実施したとしても、目的がはっきりしないままインタビュー内容のどこに宝石が眠っているかを見つけるのは、砂漠でオアシスと当てもなく探すようなものです。インタビューした内容をなんとなく共有して終わり、となっては目も当てられません。

また、製品やサービスの認知度や好意度を知りたいのに、6〜7人の分母では、圧倒的に数が足りませんし、リサーチ方法の選択として、インタビューは適していません。

まずは、今事業において、何が課題になっていて、何がクリアになると、事業が前に進むかを明確にし、それがインタビュー形式が最適なのかをしっかりと考える必要があります。

 

3つの「問」を準備する

3つの「問」を準備する

さて、解決したい課題が明確になったら「では、ユーザーにどう聞くのがいいか?」と考え始めると思います。これは勿論大事なのですが、さらに2つの「問」を追加で事前に考えておいてください。

では、ひとつづつ説明していきます。

 

質問:どう質問すれば、的確な答えが得られるか?

まずは、インタビューで何を聞くかを考えましょう。実はこの問い方は、一筋縄では行きません。深いユーザー理解なしには、的確な問は立てられないでしょう。

例えば、好きな飲料水に対して、それがなぜ好きなのかを知りたいとします。

その時に

「あなたは、以前コーラを購入した時、なぜペプシではなく、コーラを選んだのですか?」

と聞かれて、明確な理由を持って答えられる人は殆どいないでしょう。「何となく好き」「ペプシの気分ではなかったから」など、おおよそ我々が知りたいであろう答えが得られる問ではありません。

この例えはほんの一例で、ユーザーが購入動機や選択理由に対して明確な「答え」を持っていることのほうが少ないと考えてください。

その中で、どうすれば事前に設計した課題解決に近づける答えが得られるかを、どこまで考えぬけるかで、インタビューで得られる効果は、全く変わってきます。

 

仮説:質問に対して、どう答えると思うか?

では、適切な問を設計できたとして、そのままターゲットにぶつけてはいけません。ここでまず事前にすべきことの一つとして「質問に対して、どう答えると思うか?」を仮説として必ず持っておいてください。

これは、インタビュアーが「どこを深ぼるべきか?」を明確にするのに重要です。

社内でインタビューを行う際、必然的にインタビュアーも社内のメンバーが行うことになります。ユーザーとのインタビューでは得てして「想定通りの答え」は、盛り上がるポイントでもあります。

しかし、インタビュアーは常に冷静に「どこを深く掘るか?」を判断し、進行しなければなりません。そうでなければ、インタビューの時間はあっという間に過ぎ、最後の質問の時間がなく、掘り下げたい部分が浅く流されてしまう事になります。

「想定通りの答え」であるならば、インタビューアーは冷静に次の質問に行き「仮説とは違う答え」が出た時に、それはなぜなのか?を深ぼり、社内になかった知見を掘り出すことを優先してください。それこそが、インタビュアーの役割だからです。

 

実行:その答えがわかった時、具体的に何をするか?

さてインタビューが終わって、その答えやサマリを眺めているだけでは、インタビューを行った意味がありません。

すぐに、ネクストアクションに進むためにも「その答えによって、何を判断し、実行に移すか?」もしくは「方向転換するか?」を明確にしておいてください。

ユーザーファースト・カスタマードリブンを掲げてみて「ユーザーインタビュー」を行ってはみるものの、行うことが目的化し、ただインタビューサマリを眺めて終わりでは意味がありません。

必ず、次に行うべき施策を明確にし、その答えを元にすぐにアクションを起こすためのスタンバイをしておき、素早くスタートを切り出す事ができる。

ここまで事前設計をして初めて、効果的なインタビューになると言えます。

 

社内から質問を募る

さて、インタビューを行う際には、可能な限り特定の部署だけで行わず、広く質問を募集しましょう。どんな形式にしろ、インタビューはそれなりのパワー(お金と人的コスト)を使います。

ただ特定の部署の狭い視点でユーザーの声を聞くのはもったいないです。マーケティングを行っている部署はもちろん、商品開発、カスタマーサポート(カスタマーサクセス)、商品管理、営業、などなど幅広い視点の質問を集めてください。

もちろんその際には「3つの問」を考えてもらうよう、要求してください。

 

適切な方法を探る

さて、ここまで来て、質問の性質を理解したら、初めてグループインタビュー(FGI)やデプスインタビュー(DI)が適正な回答を導き出す方法か? を考えてみてください。

ある程度の量が必要な場合は、定性調査より、定量調査が有効でしょう。例えば、あるブランドの好意度を知りたい場合、グループインタビューは適切な方法とは言えません。その時は、統計的に優位な分母をランダムに集めて、市場の縮図を作り出さなくてはなりませんから、大規模なランダムサンプリングを行わねばなりません。

 

※具体的な統計優位な分母の求め方は別でブログに書きたいと思います。参考記事はこちら。

 

定量調査は、その母集団の中でも、質問の答えをもつ性質のターゲットを集めて、大規模調査では、引き出すことが難しい深いインサイトを掘り起こすのに適切です。例えば、パッケージのデザインに対して「好き」「嫌い」だけではなく、どんな印象を持ち、それが、購入動機になりえるのか? 競合と比較してもそれは変わらないか? そしてそれはなぜなのか? などです。

 

ユーザーを集めよう

ユーザーを集めよう

さて、ここでいよいよ、ユーザーの方に来ていただく為にお声掛けをすることになります。勿論、聞きたいことに応じて、ファネルのどのターゲットにアタックするかは重要です。

 

 

しかし、自社でこれを実施する場合、そもそも「繋がりがあるかないか」が最重要です。ここでは「繋がりがあるターゲット」「繋がりがないターゲット」に分けて考えてみたいと思います。

 

「繋がりがあるターゲット」

ここでいう繋がりのあるターゲットとは「何かしらの方法で連絡が取れる状態」と定義しています。つまり、

  • 既に自社の商品を購入経験がありメールなどで連絡が取れる
  • SNSのフォロアーでDMで連絡が取れる

などです。その上で、質問の答えをもつであろうターゲットがいるファネルはどこか考え、そこにいると思われるのであれば、ユーザーに連絡をとってみましょう。

 

「繋がりのないターゲット」

さて、一番難しいのが、全く新しい事業などの展開の際に、つながりがないユーザーを集めようとした時です。正直なところ、ここのターゲットを集めたい場合はお金を払ってリサーチ会社にアプローチする方が早い場合がありますし、精度も高いです。

市場の中から、本当にターゲットとしたい人をセグメントし、集めるのはそれなりに大変です。例えば「Aというブランドのバッグを3つ以上持っているヘビーユーザーを同じ日の同じ時間に6人集めたい」と言われて、すぐに見つける事ができそうでしょうか?

中々ハードルが高そうですよね。

そこで、どうしても予算がなく、自分たちでやるしかない場合は、ターゲットに近い人が集まるコミュニティーを探しましょう。そして、そこで丁寧に告知をさせていただくなどし、地道にアプローチを行うことが必要になります。

幸いにも、zoomやskypeなどでの遠隔インタビューも可能ですので、地域やエリアの心配はなくなりました(製品を実際に使用するテストがあると、やはり集まっていただく必要はありますが…)。ターゲットがいそうなコミュニティーを探すことが重要になってきます。

僕自身は実際にこれで集めたことが何度かありますw

 

謝礼(インセンティブ)を設定しよう

さて、大人を数時間拘束して、質問に答えてもらおうと思うと、それなりのインセンティブの用意が必要です。もちろんブランドのロイヤリティが高い場合、そのブランドの商品開発に参加できる、ということ自体がインセンティブになる場合もありますが、そうでない限りは、この「インセンティブ設計」によって人の集まりが変わってきます。

これは私の実感値になりますが、インタビューで1時間 ¥1500〜¥3000程度で集まりが良くなるかなと思います。加えて、お渡し出来る商品などがあれば、それをお渡しするのも良いでしょう。

これは、「集めたいユーザー層(年齢・趣向)」「ハードル(インタビューの様子の写真での顔出し必須など)」に寄っても変わりますので、自社の商材と照らし合わせてみて 、何度か試しながら最適なインセンティブを設計していってください。

 

インタビューを行おう

インタビューを行おう

さて、いよいよインタビューです。ここではインタビュー当日に気をつけるべきことを、紹介いたします。

インタビュアーを含めた参加者がすべき準備

さて、実際に進行を行う、インタビュアーや参加者がすべき準備をご紹介します。まず、役割として考えられるのは、「インタビュアー」「サポート」「議事録」の3つの係です。

 

インタビュアー

インタビュアーはメインの司会進行や事前に設計した調査票(質問表)を元に質問をユーザーに投げかける係です。事前に調査票(質問表)の中身を頭に入れておき、深堀りすべきポイントを理解しておく必要があります。

また、グループインタビューの場合特定の人ばかりが話す状態にならないよう、公平に全員がまんべんなく話が出来るように、意識しなくてはなりません。

 

サポート

インタビュアーが質問と進行に集中できるようにサポートする役割です。例えば、飲食を提供するような環境であれば、ドリンクを参加者に継いだり、別室で他の社員が見ているような方式をとった時、さらに掘り下げてほしいポイントをチャットなどで投げかけてきたりします。それをインタビュアーに伝えたりと役割は多岐にわたります。視野が広く、よく気がつくサポートがいるかいないかで、参加者のムードやインタビューの質が格段に変わります。

しかし、あくまでインタビュアーのサポートですので、W司会進行になってしまわないように、黒子に徹しながらサポートするためにも、上記を意識する準備や、調査票(質問表)を頭に入れておくことは必要です。

 

議事録

インタビュー内容の議事録の作成です。ポイントをすくい上げて、誰が発言をしたかを正確に理解し記録する必要があります。勿論映像でも残しておくことをおすすめしますが、どうしても難しい場合は、議事録に頼る必要がありますので、参加者の名前と顔を一致させておく準備が必要です。その上で、ポイントをきっちりと押さえて記録が出来る適任の方を選んでください。

 

リラックスできる空間を心がける

とにかくターゲットとなる人の本音を引き出すことが何より重要です。ですので、リラックスをして話ができる環境を作ることが大事です。

  • 飲食を用意する(場合によってはお酒も適量ならOK)
  • BGMを用意する(あくまで雰囲気作りが出来るもの)
  • ターゲットに合わせたスタッフを選ぶ

などです。特に最後の「ターゲットに合わせたスタッフを選ぶ」ですが、集まったターゲットに聞きたいことによっては「異性には話しづらい」「同年代以外には話しづらい」内容も考えられます。ターゲットが口を閉ざしてしまうようなスタッフの人選はNGです。

例えは女性用下着に関するインタビューをする際に、男性の司会者がふさわしくないことはお分かりいただけるかと思います。

また、ビデオカメラを使って、インタビューを社内に中継、録画をするなどする際も、ビデオカメラがどういう意図で撮影されているかなどをきちんと事前説明し、緊張感の種にならなようにしましょう。

 

アンケートを取る

当日のインタビュー参加者には事前に手書きアンケートを取っておきましょう。これは

  • 全員に聞くには時間がかかりすぎる項目
  • 事前に深ぼるポイントを見極める
  • 属性データの精度を上げる(趣味趣向・年齢・職業等)

という効果があります。サポート担当がインタビュー開始前にアンケートを書いてもらうよう促し、紙であればすぐにコピーやスキャンをし、社内でインタビューを見ている人を配りましょう。また、グループインタビューの場合は、誰がどの方のアンケートかが分かるようなメモを残しておくと、なお良いです。

 

承諾をいただく

当日の映像を残したり、参加者のインタビューを社外にコンテンツとして公開したいなどの利用用途があれば、きちんと承諾をとり、その書面を残しましょう。

当日は機密保持情報公開の承諾に関する記述をした紙を用意しておき、後からトラブルにならないように、サインをしてもらってください。

もちろん、募集段階でその旨を伝え、同意した方が集まっていることが大前提です。

 

映像を残す

可能な限り映像は残しましょう。当日の様子を中継、議事録を記録している場合でも、やはり当日の参加者の雰囲気や生の声を聞くことはとでも大事です。

きちんと社員全員が見れる形で共有するためにも、映像は残しておきましょう。

 

 

アウトプットをしよう

アウトプットをしよう

さて、インタビューが終わったら、必ず全社に共有しましょう。インタビューが完了して終わってしまっては駄目です。可能な限り早い段階で、共有する必要があります。

映像を共有する

前述にもありますが、可能な限り映像は残しましょう。ターゲットとなる人が、サービスや商品について語る言葉は大事な社内資産です。

そして、当日の語る言葉の熱や、表情から感じることも多くあるはずです。社内にリアルタイムで配信することも可能であればぜひしましょう。それができた場合でも、できなかった場合でも、その声を見れなかった社員の為に、当日の映像を共有してあげてください。

 

サマリにまとめる

映像を残してみても、全社員が見てくれるとは限りません。忙しい中でも確認が出来るように、必ず、1〜2枚のサマリで良いので、当日のポイントとなった部分をまとめて共有しましょう。

 

各チームですべき事を再確認する

可能な限り早い段階で、インタビュー当日のレビューを行いましょう。

話すべき内容は

  • インタビュー内容について
  • 当日の進行について

です。

当日の内容を共有した上で、改めて社内でMTGを行い、当日の質問項目をなぞりながら、すべき事を再確認しましょう。また、進行に問題があったときは次回の精度アップに繋がるように、必ず問題点を出し切り、改善するようにしましょう。

さらに、当日ユーザーの声を聞くことで出てくる予想外だったアイデアもあると思います。その熱が冷めないうちに、メンバーで出し切り、事前に設計したアクションプランと優先順位をつけながら、その日から何をすべきかを改めて整理してあげてください。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

ただ漠然とユーザーの声を聞く、というだけでは、ユーザーのインサイトに刺さるアウトプットは得られない事がわかっていただけたのではないでしょうか?

ユーザーは答えを持っているかも知れませんが、それを我々の望む形で教えてくれるとは限りません。そしてその引き出すノウハウは、サービスや製品によって異なります。

何度もユーザーと向き合い、精度を高め、価値あるプロダクトが一つでも多く世に増えることを祈っています。

 

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  • この記事を書いた人

そめ

上場企業・ベンチャーなどを歴任し、現在は某社でCMOとして、勤務。企業コンサルティングなども行っております。ブログにて、実践的なノウハウを提供中。お問合わせはTwitterDMにて。

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© 2020 とあるCMOのマーケティング実践記(と雑記)